光造形を学ぶ

光造形とは(概要)

光造形とは

光造形(Stereo lithography)(STL)は1970年台の後半に生まれた技術です。当時3Dプリンターという言葉は無く、ラピッド・プロトタイピング(Rapid Prototyping)と呼ばれていました。この技術によって3D形状を短時間で手にとって確認することが可能になり、1980年代には試作品の製造技術として実用化されました。日本では1990年代から企業への3Dプリンターの導入が始まりました。その中で、光造形方式が最も注目を浴びていましたが、装置価格は6,000万円から1億円と高価で、またデータ作成を行うCADソフトも高額だったため、大手メーカーが社内の製品開発用に保有する場合や、ごく一部の請負業者が出力サービスを行うなど、普及は限られたものでした。

初期の材料はウレタンアクリレート系(ラジカル重合系)が主流でしたが、現在では、収縮率の少ないエポキシ系(カチオン重合系)が主流となっています。(収縮率:ウレタンアクリレート系5~8%に対してエポキシ系2~3%)紫外線レーザーで液体樹脂を一層ずつ硬化させ積層していく工法で、反応硬化によって積層していくため、冷却時間が不要で、硬化時の収縮が少ないのが特徴です。

造形方式(寸法精度、積層について)

光造形装置は、大型機械であるため設置に広いスペースを要し、高額なため導入に対する障壁が高いです。一方でインクジェット他工法と比べて材料費が安いため、一度に大量のモデルもしくは大型モデルを作るのに適しており、「産業用」と称するのに最も合った装置といえます。

専門性装置運用に表面張力の制御、サポート付けなどについての知識や技術が必要となります。このような教育・人的コストも必要になります。

長所

・精度
紫外線硬化のため、熱溶融積層法や粉末焼結方式に比べて収縮・硬化時のそりは比較的少ないです。

・微細形状の再現
光造形は紫外線レーザーを液体樹脂に照射することで造形を行っています。レーザーが照射された箇所だけが硬化するので、微細形状の再現性はレーザー径に依存します。

短所

・強度
材料が脆弱であるため、形状によっては、自重での変形があります。スナップフィットなどの組み付け試験では破損する恐れがあります。

・サポートが必要
造形中にモデルを支えるためのサポートと呼ばれる構造が必要です。造形前処理として、データ上でサポートを設計する必要があり、また造形後処理としてサポートを取り外す作業が発生します。

特徴(その他)

紫外線硬化の液体エポキシ樹脂に紫外線レーザーを照射することによって硬化、積層させることでモデルを作製します。仕上がりは透明または半透明です。

1. 紫外線レーザビームで樹脂液面を断面形状通りに走査することにより、表層の硬化と下層との接合を行います。
2. 一層の厚さ分だけ、テーブルを下降します。
3. できた硬化層の上に材料樹脂を薄く塗ります。
4. 1、2、3を繰り返すことにより、モデルを作製します。

・寸法精度
外寸100mmのモデルであれば横XY方向:±0.10mm~±0.15mm程度です。材料である光硬化性樹脂は硬化時に収縮し、一層の断面積が大きい程収縮は大きくなります。

・積層について
積層厚 0.10mm、0.15mm、0.20mmでの作製が可能です。

JMC主要設備

光造形機 ATOMm-8000

《光造形機 ATOMm-8000》
装置外寸1565×1050×1900mm
最大ワークサイズは、800×600×400mm

光造形機 RM6000Ⅱ

《光造形機 RM6000Ⅱ》
装置外寸1565×1050×1900mm
最大ワークサイズは、600×600×500mm

その他付随設備

ポストキュア

造形時にモデルは、材料の収縮による変形を防ぐために半硬化状態で造形されます。このためモデルの洗浄後には、紫外線ランプによって完全硬化させるポストキュアという処理を行います。装置外寸は1300×1000×1600mmで、600mm角のモデルまでを入れることが可能です。内面は鏡張り、ステージはターンテーブルになっており、モデルを広範囲で一度に硬化させることが可能です。